ワシーリー・グロスマンの夕べ(特別篇)『人生と運命』

methode-sundaytimes-prod-web-bin-b2c9b944-7179-11e9-ae5e-b136d5a8a7fe

<『人生と運命』刊行40周年記念イベント>

ワシーリー・グロスマンの夕べ (特別篇)
『人生と運命』
――二つの全体主義に抗して――

 

================================================
アウシュヴィッツ強制収容所の解放から75周年に当たる2020年は、トレブリンカ絶滅収容所の解放にも立ち会ったロシアのユダヤ系作家ワシーリー・グロスマン(1905-1964)の死後の人生にとって、様々な意味で節目となる年です。
グロスマンの生誕から115年となる本年、スターリングラード攻防戦を軸とする独ソ戦時代の壮大な叙事詩であると同時に、ナチズムとスターリニズムという二つの全体主義体制の精緻な解剖図とも言うべき長篇『人生と運命』(Жизнь и судьба)の完成(1960年)から60年、その西側での刊行(1980年)から40年、そしてロシア本国での完全版の刊行(1990年)から30年を迎えます。
この記念すべき年である2020年2月29日(土)、『トレブリンカの地獄:ワシーリー・グロスマン前期作品集』(みずず書房)の刊行を記念して関西の三つの会場で開催した「ワシーリー・グロスマンの夕べ」の特別篇として、『人生と運命』のテクストからの朗読と関連するトークイベントを開催いたします。
『人生と運命』の原稿は、スターリンの死後はじまったフルシチョフの「雪解け」の時代、その存在を突き止めたKGBによってタイプライターとインクリボンごと「逮捕」され、作者グロスマンの生前には発表されませんでした。当時のイデオロギー担当書記であったミハイル・スースロフはこの書を評して、「この小説がこの国で200年以内に発表される見込みはない」「敵が我々に発射しようとしている原子爆弾にどうしてあなたの本をつけ加えなければならないのか」と語ったと言われています。
しかし、グロスマンの死後、マイクロフィルムに収められた原稿の写しが西側に持ち出されてソ連国外で刊行されて以来(初版はスイスのローザンヌで1980年に刊行)、仏『ル・モンド』誌が「20世紀で最も偉大なロシア小説」と評したこの作品は、思想家エマニュエル・レヴィナスが最も影響を受けた20世紀小説に挙げ、歴史家トニー・ジャットが「20世紀ヨーロッパの10冊」に選出するなど、二つの全体主義体制の衝突をめぐって生じた悲劇を語る上で欠かせない最重要作品の一つとして今日まで広範囲な影響を与えてきました。
今回の「特別篇」では、東京演劇アンサンブルのベテラン女優 志賀澤子さんをはじめ、東京や関西を中心に多方面で活躍する役者陣による『人生と運命』のハイライトシーンの朗読とともに、『トレブリンカの地獄』の共訳者である赤尾光春(関西学院大学ほか非常勤講師)による作品解説をお届けします。
================================================

 
[日時]
2020年2月29日(土)
第一部:16:00~18:00
第二部:19:00~21:00
※開場は15:30。第一部と第二部の間に1時間ほど休憩を挟みます。

[場所]
アトリエ第Q藝術(東京・世田谷)
東京都世田谷区成城2-38-16
03-6874-7739
https://www.seijoatelierq.com/

[テクスト]
ワシーリー・グロスマン『人生と運命』[全三巻]齋藤紘一訳(みすず書房)
※一部テクストは赤尾光春訳を使用します。

[構成]
鈴木径一郎(sputnik.)

[朗読]
志賀澤子(東京演劇アンサンブル)
イシダトウショウ
宮本荊(LifeR)
土江優理
赤尾光春

[会場アクセス]
小田急線「成城学園前」駅下車、中央口改札より出て、北口からなら成城石井の手前を右折、次の交差点を右折、左手に見える駐輪場の間を通る。
南口からなら上島珈琲の先を左折、次の居酒屋こじまのある十字路を左折、右手に見える駐輪場の間を通る。どちらからでも徒歩3分。(オダクル成城学園前第1駐輪場となり)

[参加費] 無料(要予約)

[定員] 50名

[ご予約・お問い合わせ]
〔メール〕e.pithecanthropus@gmail.com
〔電話〕090-6068-8803(赤尾)

[主催]
文部科学省・科学研究費・基盤研究(B)「ロシア・ウクライナ・ベラルーシの交錯――東スラヴ文化圏の領域横断的研究」(研究代表者:沼野恭子)

[協力]
神戸ユダヤ文化研究会
みすず書房

 

 

================================================
《プロフィール》
[企画・解説・朗読]
<赤尾 光春(あかお みつはる)>
関西学院大学ほか非常勤講師。大阪経済法科大学客員研究員。専門はユダヤ文化研究。共編著:『ユダヤ人と自治』(岩波書店)、『シオニズムの解剖』(人文書院)、『ディアスポラから世界を読む』(明石書店)、『ディアスポラの力を結集する』(松籟社)。共訳書:ボヤーリン兄弟『ディアスポラの力』、S・アン=スキ/V・ゴンブローヴィチ『ディブック/イヴォナ』(未知谷)、ワシーリー・グロスマン『トレブリンカの地獄』(みすず書房)。大阪外国語大学時代に劇団「檜舞台」で活動した後、サミュエル・ベケット作『ゴドーを待ちながら』、ハロルド・ピンター作『おとなしい給仕』(The Dumb Waiter)、朗読劇『ディブック』等の上演を企画・出演。
[構成]
<鈴木径一郎>
2007年に大阪で結成された劇団 sputnik.に所属。脚本家が毎回ローテーションする劇団にあって、本公演全ての演出を担当している。 作・演出作品は『エレホンの雪』(2011)、『宿酔』(2013)、『驚く方法は忘れた』(2014)等。 朗読劇『ディブック』(2015)で演出を務めた。
[朗読]
<志賀 澤子(しが さわこ)>
女優、演出家、プロデューサー。東京演劇アンサンブル代表。1963年俳優座養成所卒業、東京演劇アンサンブル入団。『母』ペラゲーア・ウラーソワ、『沖縄』秀、『かもめ』アルカージナなど。演出『FEN-沼地』『マイという女』『海の52万石』など。脚本『食卓のない家』(文化庁創作戯曲賞佳作受賞)。東京演劇アンサンブル海外公演はプロデューサー、女優としてアメリカ、ロシア、ベトナム、イギリス、ルーマニアなど10カ国余り。1995年文化庁在外研修でミラノにて学ぶ。2016年ベトナムより日本との演劇交流貢献賞を受賞。西東京市民劇団銀河ラボ2011年創立以来毎年演出。日本新劇俳優協会理事。同協会のフェスティバル2年連続で演出。2012年から『ローズ』を演じ、翌年から両国シアターΧで毎月一回の一人芝居として続けている。
<イシダトウショウ>
大阪外国語大学インド・パキスタン語ウルドゥー語学科卒。日仏共同博士課程留学生として2006-2007パリ第7大学留学、専攻は言語学、音声学、サミュエル・ベケット、舞台芸術。
<宮本 荊(みやもと けい)>
東京都内で活動中のLifeR、主宰。作・演出・出演など。共感できる喜びより知られない不幸を書き、痩身と薄幸な顔でそれを体現する。自作に限らず客演時も大抵不幸な役を回される。第一回笹塚演劇王特別男優賞。 http://lifers.jp/
<土江 優理(つちえ ゆり)>
関西を中心に活動する役者。地域の福祉施設での演劇活動や教育現場での演劇指導などにも携わる。