シンポジウム「ユダヤ人と自治――中東欧・ロシアにおけるディアスポラ共同体の興亡」

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シンポジウム「ユダヤ人と自治――中東欧・ロシアにおけるディアスポラ共同体の興亡」

(Symposium “Jews and Autonomy: Rise and Fall of Diaspora communities in East-Central Europe and Russia”)

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【日時】
2016年6月11日(土):14:00~18:30/12日(日):9:30-18:30 (11th and 12th of June, 2016)

【場所】
専修大学神田キャンパス2号館204号室 (Senshu University, Kanda Campus,Tokyo):http://www.senshu-u.ac.jp/univguide/profile/campus.html

【アクセス】
http://www.senshu-u.ac.jp/univguide/profile/campus.html

(無料/事前申し込み不要)

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【主催】文部科学省・科学研究費・基盤(B):「ユダヤ自治」再考――アシュケナージ文化圏の自律的特性に関する学際的研究(研究課題:26284115、研究代表者:赤尾光春)

【共催】大阪大学文学研究科ドイツ文学研究室

【協力】神戸ユダヤ文化研究会

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【概要】 中世から近代にかけて中東欧及びロシアに跨る地域に移住したユダヤ人は、地理的分散と文化的同質性を併せもった独自の共同体を発達させ、領土的な「独立」(Independence)とは別の水準で自治的社会を形成してきた。本シンポジウムは、このアシュケナージ・ユダヤ社会をめぐる近代史を共同体の「自治」(Autonomy)という位相から捉え直すことにより、国民国家への包摂と排除のモデルでは捉え切れないその自律的特性に着目しつつ、居住先の諸国家との葛藤に満ちた諸関係に光を当てる。

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【プログラム】

《11日(土)》

開会の辞14:00~14:10

Ⅰ.共同体の再編と「異端」論争(14:10~16:10)

  • ➀「「ユダヤ自治」の現実性と潜在性――「四邦評議会」末期の活動から」(向井直己)
  • ②「後期シャブタイ派とユダヤ人社会の分断」(山本伸一)

Ⅱ.近代ドイツにおけるユダヤ法と反ユダヤ主義(16:30~18:30)

  • ③「世俗法と宗教法のあいだ――メンデルスゾーンの儀礼法理解を中心に」(後藤正英)
  • ④「ユダヤ法研究と反ユダヤ主義――ヴェルナー・ゾンバルトを例に」(恒木健太郎)

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《12日(日)》

Ⅲ. ロシア・ユダヤ人の生成と変容(9:30~12:30)

  • ⑤「帝政ロシアとユダヤ人自治機構(カハル)」(高尾千津子)
  • ⑥「自伝と自律――ユダヤ啓蒙主義からヘブライ文化ルネサンスへ」(赤尾光春)
  • ⑦「自律と他律の間――帝国崩壊後のロシア・ユダヤ人」(鶴見太郎)

Ⅳ.文化自治の模索と破局(13:30~16:30)

  • ⑧「文化自治の最後の灯火――戦間期ポーランドのユダヤ人学校」(西村木綿)
  • ⑨「リンゲルブルムとポーランド・ユダヤ史」(宮崎悠)
  • ⑩「正義と不正義の境界――ナチ支配下ウィーンのユダヤ・ゲマインデ」(野村真理)

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*特別講演(16:45~17:45)英語(通訳なし)

“Soviet Yiddish Literature as an Amplifier of Soviet Jewish
‘Statehood”: Mythopoesis and Politics”(Ber Kotlerman)

「ソビエト・ユダヤ「国家/州」の増幅器としてのソ連イディッシュ文学――神話形成とポリティクス」(ベル・コトレルマン)

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【プロフィール】

・赤尾光春(あかお みつはる):大阪大学文学研究科招聘研究員。ユダヤ文化研究、地域研究(東欧・ロシア・パレスチナ/イスラエル)、文化人類学)。主要業績:『シオニズムの解剖――現代ユダヤ世界におけるディアスポラとイスラエルの相克』(人文書院、2011年)/「S・アン=スキーの『ガリツィアの破壊』と記憶のポリティクス(上)・(下)」『思想』(2015年5-6月号)/”A
New Phase in Jewish-Ukrainian Relations?: Problems and Perspectives in the Ethno-Politics over the Hasidic Pilgrimage to Uman,” East European Jewish Affairs 37-2 (2007)。

・後藤正英(ごとう まさひで):佐賀大学教育学部准教授。近代ドイツの哲学と宗教思想。主要業績:「モーゼス・メンデルスゾーンと政教分離」(市川裕他編『ユダヤ人と国民国家』(岩波書店、2008年)/「スピノザ『神学政治論』からメンデルスゾーン『エルサレム』へ」『スピノザ―ナ』11号(2010年)/「世俗と宗教の翻訳可能性」『宗教哲学研究』32号(2015年)。

・高尾千津子(たかお ちづこ):東京医科歯科大学教養部教授。西洋史、ロシア・ソ連史、ユダヤ史。主要業績:『ソ連農業集団化の原点――ソヴィエト体制とアメリカユダヤ人』(彩流社、2006年)/「ロシア帝国とユダヤ人」(塩川伸明他編『ユーラシア世界2 ディアスポラ論』(東京大学出版会、2012年)/「内戦期シベリア、極東における反ユダヤ主義 1918-1922」『ユダヤ・イスラエル研究』29号(2015年)。

・恒木健太郎(つねき けんたろう):専修大学経済学部准教授。経済学史、社会思想史。主要業績:『「思想」としての大塚史学――戦後啓蒙と日本現代史』(新泉社、2013年)/「他所者の無記名証券による隠匿――ヴェルナー・ゾンバルトのユダヤ人観の一断面(1-2)」『人文社会科学研究所月報』(2015年)。

・鶴見太郎(つるみ たろう):東京大学大学院総合文化研究科准教授。歴史社会学、ロシア・ユダヤ史、パレスチナ/イスラエル。主要業績:『ロシア・シオニズムの想像力――ユダヤ人・帝国・パレスチナ』(東京大学出版会、2012年)/「旧ソ連系移民とオスロ体制――イスラエルの変容か、強化か」(今野泰三他編『オスロ合意から20年――パレスチナ/イスラエルの変容と課題』(NIHUイスラーム地域研究東京大学拠点、2015年)/”Jewish Liberal, Russian Conservative: Daniel Pasmanik between Zionism and the Anti-Bolshevik White Movement,” Jewish Social Studies 21-1(2015)。

・西村木綿(にしむら ゆう):日本学術振興会特別研究員PD。近現代ユダヤ史。主要業績:「両大戦間期ポーランドにおけるイディッシュ世俗学校運動の生成と展開――文化的民族自治、イディシズム、学校共同体」『東欧史研究』第37号(2015年)/「民族の「自決」とは何か――ユダヤ人「ブンド」の問いをめぐって」『社会思想史研究』第39号(2015年)/  “On the cultural front: the Bund and the Yiddish secular school movement in interwar Poland,” East European Jewish Affairs 43-3 (2013)。

・野村真理(のむら まり):金沢大学人間社会研究域教授。ヨーロッパ近現代史、社会思想史。主要業績:『ウィーンのユダヤ人――19世紀末からホロコースト前夜まで』(御茶の水書房、1999年)/『ガリツィアのユダヤ人――ポーランド人とウクライナ人のはざまで』(人文書院、2008年)/『ホロコースト後のユダヤ人――約束の土地は何処か』(世界思想社、2012年)。

・宮崎悠(みやざき はるか):北海道教育大学教育学部国際地域学科講師。国際政治、ポーランド政治史、ポーランドユダヤ史。主要業績:『ポーランド問題とドモフスキ――国民的独立のパトスとロゴス』(北海道大学出版会、2010年)/「アポリナルィ・ハルトグラスの残留型シオニズム」『地域研究』16-1(2015年)。

・向井直己(むかい なおき):京都大学大学院人間・環境学研究科 特定研究員。ユダヤ思想史・ユダヤ学史。主要業績:”H. Steinthal: A Psychologist of the Jewish People,” European Journal for Jewish Studies 6-2(2012)/「ユダヤ移民とパレスチナ問題」(山室信一他編『現代の起点 第一次大戦』(第4巻)岩波書店、2014年)。

・山本伸一(やまもと しんいち):日本学術振興会海外特別研究員(バル・イラン大学)。シャブタイ派、カバラー、メシアニズム。主要業績:『総説カバラー――ユダヤ神秘主義の真相と歴史』(原書房、2015年)。

・ベル・コトレルマン(Ber Kotlerman):バル・イラン大学(イスラエル)准教授。東欧ユダヤ文化、イディッシュ文学。主要業績:Disenchanted
Tailor in “Illusion”: Sholem Aleichem behind the Scenes of Early Jewish Cinema (Bloomington, 2014)/The Cultural World of Soviet Jewry
(Raanana, 2014)/In Search of Milk and Honey: The Theater of ‘Soviet Jewish Statehood’ (Bloomington, 2009).

 

Symposium “Jews and Autonomy: Rise and Fall of Diaspora communities in East-Central Europe and Russia” 01

シンポジウム「ユダヤ人と自治」パンフレット表面(クリックすると拡大します)

 

Symposium "Jews and Autonomy: Rise and Fall of Diaspora communities in East-Central Europe and Russia"

シンポジウム「ユダヤ人と自治」パンフレット裏面(クリックすると拡大します)