神戸・ユダヤ文化研究会 第3回文化講座および総会のご案内

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神戸・ユダヤ文化研究会 第3回文化講座および総会のご案内

 

神戸・ユダヤ文化研究会では、今年度第3回目の文化講座を、対面とオンラインの併用で開催いたします。
対面での開催が中止になる可能性もありますので、本サイトで随時確認してください。

文化講座は松山大学 黒田晴之 研究室との共同開催で、1960年代のドイツの「過去の克服」を集中討議します。
岡山商科大学の香月恵理さん、立命館大学の本田稔さんに、講師としてご登壇いただきます。
香月さんは、アーレントの『エルサレムのアイヒマン』を大きく見直すきっかけとなった、ベッティーナ・シュタングネト『エルサレム〈以前〉のアイヒマン 大量殺戮者の平穏な生活』を訳され、本田さんは、戦後ドイツの法曹界における「過去の精算」を研究され、アウシュヴィッツ裁判を率いた検事長フリッツ・バウアーの伝記も訳されています。

今回は講演に先立って総会の場を設けます。会員のみなさまはこちらにもご出席ください。

 

■ 日時 2023年3月4日(土)

12:30      開場
13:00~13:45  総会
14:00-17:00 (文化講座)「集中討議 アイヒマン裁判、アウシュヴィッツ裁判、そしてその後」

14:00-14:15 黒田晴之(司会も)「トランスニストリアからの告発――アウシュヴィッツ裁判の限界と広がり」
14:15-15:15 香月恵理さん「エルサレム〈以前〉のアイヒマンとアイヒマン裁判」
15:15-15:30 休憩
15:30-16:30 本田稔さん「アウシュヴィッツ裁判とその後の過去の清算」
16:30-17:00 質疑応答

 

■ 参加方法

対面での参加費は、正会員=無料、一般参加者=500円、学生=無料(受付で学生証をご呈示下さい)。
オンラインでの参加費は無料です。ご参加の詳細に関しては、神戸・ユダヤ文化研究会事務局( jjskoffice@yahoo.co.jp )までお問い合わせください。

 

■ 場所 こうべまちづくり会館

〒650-0022 神戸市中央区元町通4-2-14
078-361-4523
https://kobe-machi-kaikan.city.kobe.lg.jp/

会場からのお願い
原則マスク着用をお願いしていますが、2メートルの身体的距離を確保し、会話をほとんど行わない場合は、マスク着用は必要ありません。
マスクを着用の際には適切なマスクの正しい着用(不織布を推奨)をお願いいたします。事前に検温をお願いします。熱がある、体がだるいなどの症状がある場合は、ご利用しないでください。

 

■ 講演要旨

「集中討議 アイヒマン裁判、アウシュヴィッツ裁判、そしてその後」(神戸・ユダヤ文化研究会 松山大学 黒田晴之 研究室 共同開催)

1 「トランスニストリアからの告発――アウシュヴィッツ裁判の限界と広がり」――黒田 晴之
トランスニストリアは聞き慣れない地名ですが、現在のウクライナ西部に位置し、ここでは第二次大戦時に、ユダヤ人やロマが強制労働をさせられました。当地での戦争犯罪が、アウシュヴィッツ裁判とどうリンクするのか紹介し、香月さん・本田さんのご講演への導入とします。

2 「エルサレム〈以前〉のアイヒマンとアイヒマン裁判」――香月 恵理
B・シュタングネトの著書『エルサレム〈以前〉のアイヒマン」は、アーレントの著作以降、人々のイメージの中に定着していたアイヒマン像に疑問を投げかける内容であった。これは近年になって閲覧が可能になったアイヒマン関連文書によって可能になった著作である。またそれを追っていくと、戦後の西ドイツに暗い影を落としている旧ナチの影響力があきらかになってくる。

3 「アウシュヴィッツ裁判とその後の過去の清算」――本田 稔
1.過去の清算の意味 2.法による過去の清算――アウシュヴィッツ裁判の課題 3.アウシュヴィッツ裁判後の過去の清算 4.『ローゼンブルクの記録』の問題提起
参考:ハイコ・マース元司法・消費者保護大臣「「ローゼンブルクの記録」――連邦司法省は1950年代および60年代にナチ時代とどのように関わったか,それは現代にいかなる政治的結果をもたらしたか」(本田稔訳)
https://www.ritsumei.ac.jp/acd/cg/law/lex/17-4/010honda.pdf

 

■ 講師略歴

黒田 晴之(松山大学教授、本会会員)
1961年生まれ。専門は20世紀ドイツ文学(カネッティ、ハンス・ヘニー・ヤーンなど)とユダヤ文化。著書は『クレズマーの文化史』(人文書院、2011年)、共訳にハヌシェク『カネッティ 伝記』(ぎょうせい、2013年)、ヤーン『岸辺なき流れ』(国書刊行会、2014年)など。

香月恵里(岡山商科大学教授)
1961年生まれ。関西学院大学文学研究科博士後期課程単位取得満期退学。専門はドイツ現代文学。主な訳書に、ベッティーナ・シュタングネト『エルサレム〈以前〉のアイヒマン』(みすず書房・2021年)、イェルク・フリードリヒ『ドイツを焼いた戦略爆撃』(みすず書房・2011年)、ハンス・E・ノサック『ブレックヴァルトが死んだ』(未知谷・2003年)がある。

本田 稔(立命館大学教授)
1962年生まれ。立命館大学大学院法学研究科修了。博士(法学・立命館大学)。専門は刑法・ドイツ法。著書に本田稔・朴智賢編著『刑法における歴史認識と過去清算』(文理閣・2014年)、Minoru Honda, Beitraege zur Geschichte des japanischen Strafrechts, de Gtuyter, 2020. など、訳書にダニエル・J・ゴールドハーゲン(望田幸男監訳)『普通のドイツ人とホロコースト』(ミネルヴァ書房、2007年)、ローネン・シュタインケ(本田稔訳)『フリッツ・バウアー』(アルファベータブックス、2017年)などがある。