神戸・ユダヤ文化研究会2020年第1回文化講座 オンライン開催のお知らせ

上海ゲットーからの通行許可証

神戸・ユダヤ文化研究会2020年第1回文化講座
オンライン開催のお知らせ

 

長く続いた梅雨も明け、日に日に暑気が勢いを増す候、お変わりありませんでしょうか。新型コロナウィルス感染症の流行もいまだ収束の気配をみせず、人の集まる活動にも制約や遠慮がついて回ります。この度、神戸・ユダヤ文化研究会におきましても、今年度2回めとなる文化講座をオンラインにて開催いたします。

第二次大戦の終結から75年を迎え、一方では「平和の祭典」の開催が延期された今年、はからずながらも、私たちはいたずらに「平和」をことほぐことなく、戦争の記憶について振り返るちょうど良い契機を得ることになりました。今回の文化講座におきましては、はじめに「上海ゲットー」における「日本=ユダヤ人救済者」という紋切型の自家撞着を再検討したうえで、戦後、ひとりのユダヤ人女性によって提起された全体主義論の「成功」の過程を振り返りたいと思います。

閉塞的な環境にささやかなりとも風穴をあける、学びの機会になればと思います。オンラインではありますが、皆様のお越しをお待ちしております。

 

■日時:文化講座

2020年9月12日(土) 【文化講座】

  • 13:00~14:45 講演①+質疑応答
  • 15:00~16:45 講演②+質疑応答
  • 17:00~17:55 全体討論
  • 18:00~21:00 懇親会

 

■参加方法:

今回はインターネット上のみでの開催です

※※ご参加の詳細に関しては、神戸・ユダヤ文化研究会事務局
( jjskoffice@yahoo.c.jp ) までお問い合わせください。

 

■参加費

無料
(※今回は暫定的に無料としますが、ご寄付等あれば歓迎いたします)

 

 

■文化講座

①講演:「戦時上海のユダヤ人を救ったのは日本だったのか」

  • 講師 :関根真保(立命館大学プロジェクト研究員、本会会員)
  • 講演要旨:

ナチスの迫害から戦時上海に逃れてきたユダヤ人は2万人近くいた。日本が統治下の上海に彼らを受け入れ、方針として反ユダヤ主義をとらなかったことが、彼らをホロコーストから救ったとも言われている。さらに中国が自国の歴史の中で、上海ユダヤ人の足跡を振り返る際にも、「戦時上海のユダヤ人を救ったのは、中国ではなく日本だった」という主張が日本でなされてさえいる。
本講座はまず、「戦時上海のユダヤ人を救ったのは日本である」とする通説が定着するまでの過程を検証する。そして、上海ユダヤ人の歴史は、比較的自由を享受できた「リトル・ウィーン期」と、もっとも困難な生活を強いられた「上海ゲットー期」の二期に分けられることを提唱する。それによって今回のテーマに関する客観的な判断を促したいと考える。

  • 講師略歴:

専門は中国近現代史、ユダヤ離散史。主な著書、論文に『日本占領下の<上海ユダヤ人ゲットー>-「避難」と「監視」の狭間で』(昭和堂、2011年)、「上海ユダヤ人の戦後-「待合室」上海から、「目的地」アメリカへ」(『アジア遊学236 上海の戦後-人びとの模索・越境・記憶』勉誠出版、2019年)。

 

②講演:「ハンナ・アーレントとニューヨーク知識人の邂逅
――冷戦期アメリカにおける全体主義論」

  • 講師 :大形 綾(京都大学博士後期課程)
  • 講演要旨:

本発表の目的は、戦中・戦後のアメリカ社会の変容を背景に、ハンナ・アーレントとアメリカのユダヤ系知識人の結びつきを考察することです。とりわけ、『全体主義の起原』の成功が、ニューヨークで活躍したユダヤ系知識人たちの社会進出を支えていたことを明らかにします。

  • 講師略歴:

京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程に在籍。思想史。ハンナ・アーレント思想をアメリカの知識人との関わりから考察している。共訳書『アーレント=ショーレム往復書簡集』(岩波書店、2019)、コラム「ニューヨークのユダヤ人たち」『アーレント読本』(法政大学出版、2020)。

 

2020年8月20日