【重要】会場となっている「こうべまちづくり会館」が、新型コロナウイルスによる臨時休館のため、今回の文化講座は中止といたします。
2019年度総会・第3回文化講座のご案内
早くから梅花も香る初春の候、いかがお過ごしでしょうか。
このたび、神戸・ユダヤ文化研究会では、本年度の締めくくりとなる総会および文化講座を開催いたします。今回の文化講座においては、フランス・ユダヤ哲学とマックス・ヴェーバーの見たユダヤ移民という二つの主題を、ひとまずはそれぞれに独立した形で考察していきます。本会会員・京都外国語大学講師、影浦亮平と、また本会元会長・大阪大学名誉教授の徳永恂を講師とさせていただく予定です。
それぞれ独立した主題ではありますが、異郷にあり、外部の言葉を用いなければならないディアスポラという環境が、ひとつの基調をなすでしょう。若手とベテランの掛け合いも期待されるところです。
本年度の締めくくりとなる総会と合わせ、皆様のお越しをお待ちしております。
日時:
2020年3月22日(日)
13:00-14:00 (総会)
14:10-17:00 (文化講座)
場所:
こうべまちづくり会館 2F ホール(元町商店街内・高速神戸「花隈」下車徒歩2分)
Tel: 078-361-4523
URL:http://www.kobe-machisen.jp/
参加費:
正会員=無料、一般参加者=500円、学生=無料(受付で学生証をご呈示下さい)
文化講座
①講演題目: フランスにおけるユダヤ哲学―ジェラール・ベンスーサンの仕事
●講師: 影浦 亮平(京都外国語大学講師、本会会員)
●講演要旨:
本講座ではフランスにおいてユダヤ哲学の大家として知られるジェラール・ベンスーサン(ストラスブール大学名誉教授)の著作『メシア的時間』(法政大学出版局、2018)と『ユダヤ哲学とは何か』を取り上げます。ギリシア語圏(フィロン)、アラビア語圏(マイモニデス)、ドイツ語圏(メンデルスゾーン、ヘルマン・コーエン、ローゼンツヴァイク、ブーバー、レヴィナス)におけるユダヤ教と哲学の出会い、そして常に母語から切り離されて語られることを運命づけられたユダヤ思想の展開について考察してみたいと思います。さらに現代哲学におけるユダヤ・メシアニズムの展開、直線的な時間進行を中断する出来事の到来としての「メシア的時間」が現代哲学の中でどのような位置を占めているかについても検討してみます。
●講師略歴:
京都外国語大学講師、ストラスブール大学ドイツ・現代哲学研究センター客員研究員。2005年に京都大学総合人間学部卒業、2007年にストラスブール大学で修士課程修了、2012年に博士課程修了。哲学博士(ストラスブール大学)。専門は、フランス・ドイツの近現代哲学、倫理学、ヴァルター・ベンヤミン、ジョゼフ・ド・メーストル。著書は、Doxa(共著)、Joseph de Maistre and his European Readers(共著)、『現代スペインの諸相 』(共著)。修士論文と博士論文の指導教官はジェラール・ベンスーサン。
② 講演題目: マックス・ヴェーバーのアメリカ旅行をめぐって
●講師 :徳永 恂(大阪大学名誉教授、本会元会長)
●講演要旨:
今年はヴェーバーの没後100年にあたるというので、いろいろな計画が行われているらしい。私も「ヴェーバーとハイデガー」、「ヴェーバーとアドルノ」という題で、雑誌『思想』に論文2篇を書くことになったが、ここでは、堅苦しい話はやめにして、彼のアメリカ旅行が彼自身にとってどういう意味を持っていたのかを探り、そこを中心に、これまでのヴェーバー像を見直してみたい。彼の代表作と目されている『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』は、1904年秋のアメリカ旅行を挟んで、前半は旅の前に、後半は旅の後に書かれた。旅はそこでどういう影響を彼に及ぼしたのか。彼の旅における中心的関心は、敢えて一言で言えば、「移民問題」であった。ヨーロッパからアメリカへの移民の波の中で、ユダヤ系はどういう位置を占めていたのか。ディアスポラという運命を背負ったユダヤ人にとって避けることのできない移民問題とユダヤ人問題の関連を考えてみたい。
●講師略歴:
プロフィール:1929年浦和市生まれ。1951年東京大学文学部哲学科卒業。北海道大学、大阪大学、大阪国際大学教授を経て、現在、大阪大学名誉教授。神戸・ユダヤ文化研究会元会長。主な著書に『社会哲学の復権』、『ヴェニスのゲットーにて』(以上、講談社学術文庫)、『現代思想の断層』(岩波新書)等。主な訳書に、アドルノ/ホルクハイマー『啓蒙の弁証法』等。
2020年2月25日
2020年3月12日改訂