神戸・ユダヤ文化研究会 第1回文化講座のご案内:「ユダヤ社会の“いま”――カリフォルニア・ユダヤ社会に飛び込む」

「ユダヤ社会の“いま”――カリフォルニア・ユダヤ社会に飛び込む」

神戸・ユダヤ文化研究会 第1回文化講座のご案内

花の盛りも翳り、あわただしい春もようやく落ち着きはじめました。皆様におかれましては、いかがお過ごしでしょうか。

この度、神戸・ユダヤ文化研究会では、2019年度最初となる文化講座を以下の要領にて開催いたします。今回のテーマは、アメリカ西海岸のユダヤ社会です。先の3月、外務省の支援によって、カリフォルニアのヴァラエティ豊かなユダヤ社会に触れてきた5名の研究者が、彼らの歴史と現在のありようを、座談会の形でレポートします。

こうべ・まちづくり会館の建物改修により、通例とは開催場所が異なりますのでご注意ください皆様のお越しをお待ちしております。

 

●日時:2019年5月12日(日)13:00 ~16:45

 

●場所:神戸市教育会館 203号室

※通例の開催場所とは異なりますのでご注意ください。

(JR・阪神「元町」駅東口から鯉川筋を北へ、中山手通4丁目交差点を北側で左折後すぐ、徒歩10分)

Tel: 078-222-4111  URL:http://www.kobekhall.com/

 

●参加費:一般参加者・維持会員=500円、

正会員・学生=無料(※学生の方は受付で学生証をご呈示下さい)

●報告テーマ:「ユダヤ社会の“いま”――カリフォルニア・ユダヤ社会に飛び込む」

 

●概要

1848年、米墨戦争の終結によって、カリフォルニアは他の南西諸州と共にアメリカ合衆国に編入される。ほぼ同時期にその北部で発見された金鉱は、アメリカ国内のみならず、中南米、アジア・太平洋、そしてヨーロッパから多数の移民を引き寄せ、いわゆるゴールド・ラッシュと呼ばれる狂騒状態を作り出した。中欧で貧困にあえぐユダヤ人たちの一部はこの波に乗り、他の諸民族と競合・宥和するなかで、開放的で活動的な、特色あるユダヤ社会を構築していくことになる。戦間期のヨーロッパ・ユダヤ難民、第二次大戦後のショアー生存者と国内移住者、そして動揺を続ける中東地域からの移民・難民を吸収し、拡大と多様化を続けてきたこの独自のユダヤ社会の姿は、しかし日本においてさほど語られることはない。

2019年3月、外務省国際交流プロジェクト「カケハシ・プロジェクト」により、10名のユダヤ研究者が当地に派遣され、アメリカ・ユダヤ人委員会(AJC)の協力のもと、現地のユダヤ社会に飛び込む機会を得た。今回の報告においては、アメリカ・ユダヤ社会のなかでも異彩を放つカリフォルニアの歴史について紹介した上で、うち5名からその現在の様態を新鮮な印象と共に報告する予定である。

 

●講師略歴

・阿部泰士(あべ・たいじ)

同志社大学経済学部卒業、同経済学研究科修了、同ビジネス研究科修了(MBA)、同総合政策科学研究科技術革新的経営専攻修了(Ph.D.)。専門は経営学および経済学。一神教の産業的側面と宗教ビジネス、特にコーシェル認証ビジネスやハラール認証ビジネス等に関心を持つ。2017年より同志社大学研究開発推進機構特別研究員(現職)、2018年より同志社大学一神教学際研究センターリサーチフェロー(現任)。

・石黒安里(いしぐろ・あんり)

同志社大学大学院神学研究科一神教学際研究コース修了。博士(一神教研究)。2011-2012年ハイファ大学に留学。専門は、アメリカ・ユダヤ人女性の歴史およびシオニズム思想。特にアメリカにおける文化的シオニズムの展開とシオニズムの多義的な解釈に関心を持つ。またユダヤ人女性によるユダヤ教の再解釈に着目する。2017年より同志社大学研究開発推進機構特別任用助教(有期研究員)(現職)、2018年より同志社大学一神教学際研究センターリサーチフェロー(現任)

・北村徹(きたむら・てつ)

同志社大学神学部・神学研究科修了。博士(神学)。専門はヘブライ語聖書の一書、『エゼキエル書』で、捕囚という出来事に直面した古代イスラエルの祭司の応答の姿を記すものとしての同書に関心。共訳書に『ビジュアル大百科 聖書の世界』(総監修マイケル・コリンズ、日本語版監修月本昭男、監訳宮崎修二、明石書店、2016年)。現在、同志社大学一神教学際研究センター特別研究員、同志社大学神学部嘱託講師。

・平岡光太郎(ひらおか・こうたろう)

ヘブライ大学人文学部・ユダヤ思想学科および聖書学科卒業。同志社大学神学研究科修了(神学博士)。専門はマルティン・ブーバーであり、特に彼のナショナリズム理解に関心がある。近年は彼のハスィディズム受容に注目している。以下の刊行物などがある。平岡光太郎、第8章「中世ユダヤ思想における「民主主義」理解」『宗教と対話――多文化共生社会の中で』、勝又悦子・小原克博編(教文館、2017年)(231~261頁)、Hiraoka Kotaro, “The Bible and Political Philosophy in Modern Jewish Thought”, 50 Jahre Martin Buber Bibel, Daniel Krochmalnik, Hans-Joachim Werner (ed.), (Lit Verlag, 2014)(pp. 369‐383)

・向井直己(むかい・なおき)

京都大学人間・環境学研究科博士課程認定退学。専門は近代ユダヤ史およびユダヤ思想史。特にユダヤ人の自己理解を形成する基盤としてのユダヤ学の歴史に関心を持つ。共編著に『ユダヤ人と自治』(岩波書店、2017)等。2009-2010年エルサレム、2010-2011年ハイデルベルク留学後、2013年より京都大学特定研究員(現職)