2018年度総会・第3回文化講座のご案内
ふと暖かくなったかと思えば雪もちらつき、どうにも落ち着きのない立春の候、いかがお過ごしでしょうか。
このたび、神戸・ユダヤ文化研究会では、本年度の締めくくりとなる総会および文化講座を開催いたします。今回の文化講座のテーマは、日本語の文学や漫画作品に現れるユダヤ人のイメージです。
戦前の神戸や芦屋、西宮で、いわゆる「阪神間モダニズム」が花開くなか、この地域には従来にない規模のユダヤ人が居留するようになりました。そうして私たちは、ものの本によるのではない、隣にいる人としてのユダヤ人を知るようになります。極東の日本にあって自らのユダヤ性に悩み、ドイツとの、あるいはイスラエル国との関係に葛藤するこのユダヤ人たちの姿を、作家たちは情緒豊かに描きだしてきました。今回は関西学院大学より宇和川雄さんをお招きし、この地域を舞台にした作品を取り上げつつ、そこで描写されたユダヤ人の姿の変遷を辿っていただきます。
本年度の締めくくりとなる総会と合わせ、皆様のお越しをお待ちしております。
日時:2019年3月16日(土)
12:30-13:30 (総会)
14:00-17:00 (文化講座)
場所:こうべまちづくり会館 6F 会議室
(元町商店街内・高速神戸「花隈」下車徒歩2分)
Tel: 078-361-4523 URL:http://www.kobe-machisen.jp/
参加費: 正会員=無料、一般参加者=500円、学生=無料(受付で学生証をご呈示下さい)
文化講座
●講演題目:阪神間モダニズムとユダヤ人像――『細雪』、『アドルフに告ぐ』、『ミーナの行進』
●講師 :宇和川 雄(関西学院大学 助教)
●講演要旨:
明治元年の開港以来、外国文化の玄関口になってきた神戸。その神戸と、商都大阪を結ぶ地域に根づいた、いわゆる「阪神間モダニズム」の文化。その遺産は、今日にいたるまで脈々と受け継がれている。その歴史を、「ユダヤ人」という細いスリットを通して垣間見ることはできないか。本講演では、この観点から谷崎潤一郎『細雪』(1948)、手塚治虫『アドルフに告ぐ』(1985)、小川洋子『ミーナの行進』(2006)を取り上げ、三作品に描かれた「ユダヤ人像」の変遷をたどる。
●講師略歴:
宇和川雄(うわがわ・ゆう)1985年愛媛県生まれ。京都大学大学院文学研究科でドイツ文学を専攻し、2016年に『ミクロロギーと普遍史――ベンヤミンの歴史哲学』で博士号を取得。三重大学特任准教授を経て、現在関西学院大学助教。ベンヤミンを中心に、近現代ドイツ語圏の文学と思想を研究している。最近は「1920年代ドイツのプラネタリウム論」の研究を進めている。論文に『文献学と歴史――グリムからベンヤミンへ』(日本独文学会『ドイツ文学』、2013年)、『ヴァルター・ベンヤミンにおける普遍史の理念』(関西学院大学『人文論究』、2018年)などがある。
2019年2月13日