中秋の候、いかがお過ごしでしょうか。
この度、以下の要領にて2014年度2回目となる文化講座を開催させていただきます。今回の主題はヴァイマール期のドイツです。皆様のご参加をお待ちしております。
日時:9月27日(土)13:30 – 17:00
場所:こうべまちづくり会館6階会議室 (高速神戸・花隈駅より徒歩2分)
■住所:〒650-0022 兵庫県神戸市中央区 4丁目2-14
■TEL: 078-361-4523; FAX:078-361-4546
■ホームページ:http://www.kobe-sumai-machi.or.jp/matisen/index.htm
参加費:正会員=無料、維持会員・一般参加者=1000円、学生=無料(受付で学生証をご呈示下さい)
講演:
1) 北岡 幸代さん(同志社大学人文科学研究所嘱託研究員・本会会員)
W. ラーテナウの『時代批判』(1912)と言論空間にみるゲルマン的イデオロギーの射程
――第一次世界大戦前夜のヴィルヘルム帝政期言論界における人種主義をめぐる一側面について――
【要旨】
第一次世界大戦後、外務大臣在任中に暗殺されたドイツ・ユダヤ人ヴァルター・ラーテナウ(1867-1922)の第一冊目の評論『時代批判(Zur Kritik der Zeit)』を、同時代の人種主義に関する一側面を考察するための歴史史料として取り上げる。本書には、近代化批判と同時に人種主義に依拠した「ゲルマン的イデオロギー」の世界観が提示されているが、その分析のために二つの視点からアプローチを試みている。ひとつは、エゴ・ドキュメント的な読み解きをすることで、ドイツ・ユダヤ人ラーテナウの主張する同化主義と人種主義の関係性を分析すること。もう一つは、本書に寄せられた50以上の同時代の書評を手掛かりに、社会的なネットワークの中に本書を位置付け、ラーテナウの人種主義は、同時代の文脈の中でどのような位相にあったのか、また言論界は彼の人種主義的な言説部分にどのように応じたのか、言論人たちによる拒絶・見過ごし・不問・条件付き受容・共感の文脈をとらえ、言論界の「知的態度」のなかに見受けられた人種主義言説への親和性の内実を考察する。
最後に、1907年・1908年に二回に分けて行われたラーテナウのドイツ領東アフリカ・西アフリカの視察時の「植民地政策研究」に示されている人種主義との差異についても言及する。
【講演者略歴】
京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程研究指導認定退学後、現職。研究領域は、ドイツ・ユダヤ人史、ドイツ近現代史。既発表論文としては、「同化意識と『高みに立つ知』――ラーテナウの『聴け、イスラエル!』成立をめぐって」『人間・環境学』第12巻、51-69頁。「ヴァルター・ラーテナウ『時代批判(Zur Kritik der Zeit)』(1912年)――ゲルマン的イデオロギーと文芸批評空間――」『ゲシヒテ』第4号、3-17頁。
【要旨】
1933年3月24日のナチス政権下における「全権委任法」(正式名「民族及び国家の危難を除去するための法律」)の成立は、「20世紀民主主義憲法の典型」とされる「ワイマール憲法」の崩壊を決定的なものにした。「ワイマール憲法」は、「いつの間にかナチス憲法に変わっていた」というわけでは決してない。たった5条から成るこの「全権委任法」が、どのような歴史的経緯で成立し、ナチズム期の障碍者「安楽死」計画やユダヤ人抑圧措置に結びついていったのかを本報告では考えてみたい。
【講演者略歴】
1954年生まれ。京都大学大学院法学研究科博士後期課程研究指導認定退学。博士(法学)。浜松医科大学医学部助教授を経て、現職。専門は人権史・近現代ドイツ反ユダヤ主義史。主な著書に『ヴェーバーとナチズムの間』(名古屋大学出版会、1993年)、『近代啓蒙批判とナチズムの病理』(創文社、2003年)、『ヴェーバーとリベラリズム』(勁草書房、2007年)、「憲法」(古賀敬太編『政治概念の歴史的展開』第6巻、晃洋書房、2013年)、編訳書に『カール・シュミット時事論文集――ヴァイマール・ナチズム期の憲法・政治論議』(風行社、2000年)、『「生きるに値しない命」とは誰のことか――ナチス安楽死思想の原典を読む』(窓社、2001年)など。
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